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日本酒

【日本酒の熟成】未来と世界に向けた、日本酒のこれから

2025.11.21 著者:sakesukiya

日本酒=新酒?世界の酒との比較

 フレッシュでフルーティ、華やかな日本酒はご存知のように美味しいですね。ですが、同じ醸造酒のワインはヌーボだけがワインでないのも周知です。より深く複雑な香りや味わいを楽しむワインには、樽で長期熟成されたものが喜ばれています。 ウイスキーで言えば、無色のニューポット(熟成前の蒸留酒)は飲んでもあまり味のしないもの。ウイスキーの場合は、熟成=時間こそが価値根源であり、熟成期間が「らしさ」の味わい基準の主体になります。また中国の紹興酒に代表される老酒も、フランスのブランデーも然り。(ビールは、グビっと爽やかにフレッシュで飲みたい人はが多いでしょう。)このように新酒で価値や味わいの幅を示せることは、他の酒類でもなかなか難しいです。逆に言えば、時間価値を持つ酒は、世界に名だたる人気のお酒たちとも言えます。

酒と食のペアリングで考える

 味わいや価格に幅があることで広く様々なシーンで親しまれ、その酒全体への関心や食とのペアリングにもバリエーションが増えます。例えばフレンチコースで考えると、シャンパンで乾杯し、軽い前菜に白ワイン、肉魚に赤ワイン、デザートに甘いデザートワイン。ワインではこんなコースが普通に組めます。和食では淡白な味付けでない料理の時、メイン等でワインを用いることになったりします。肉料理や醤油味の濃いもの、スパイシーなもの、せっかく日本食で楽しむのだから日本の酒でペアリングできたら、シーンもまとまりますよね。イタリアンではリモンチェッロやワイン、グラッパなどでまとめたいし、地域の食と酒は切っても切れない関係でしょう。日本にも焼酎や梅酒などバラエティもありますが、その中心的な存在・日本酒が狭い幅では、楽しみ方も限られてしまいます。

世界にわかりやすいモノサシ・熟成

 また海外からのVIP客へ自国の酒を贈ろうとした場合、日本酒は安過ぎて対象にならない、という話も。概ね数千円までで価格差の少ない日本酒では、贈り物で表したいことが伝えきれない場面もあります。話題やニュースになりやすい重要人物に関わる事柄は、多くの人の目に触れる機会。これではVIPの発信力が使えずもったいないかもしれません。様々な視点から、日本酒に幅や価値化や差別化が求められつつあるのが、今の時代かと思います。これに応えられる、世界に最も伝わりやすい方法は「熟成」。説明不要の万国共通の認識です。

 日本酒=新酒となったのは、実は100年ちょっと前からの話。それ以前の長い2000年の酒の歴史では、「熟成した酒が旨い」といった価値観は当然のように、日本にもあったのです。記されている一番古い記述は、平安時代「延喜式」という書。ここには15種類の酒の種類が書かれその中に「熟酒」と記されています。今から1000年以上前には熟成の酒を楽しむ文化が、日本に存在していた証。新酒だけが日本酒にあらず、かつては日本酒にも熟成させて旨みを高める飲み方が、味わいの幅が、長く存在していました。ワインやウイスキーと同じように。

 

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